【あつた蓬莱軒】創業150年、老舗うなぎ料理店の名物“ひつまぶし”
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愛知県名古屋市熱田区神戸町503
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“ひつまぶし”の誕生秘話と名前の由来
「あつた蓬莱軒」のある熱田は東海道唯一の陸と海の分岐点であり、各地方から交通と文化が集まってくる場所でした。江戸時代には東海道五十三次41番目の宿場町として多くの人でにぎわっていたそうです。その時の宮宿に料亭として誕生したのがココ「あつた蓬莱軒」。
“弥次喜多妖怪道中膝栗毛”にも登場しているように、当時は鰻の蒲焼きと鶏のかしわが名物でした。その人気ぶりから出前が多く、出前を下げに行くたびに空のどんぶりを割ってくるのを解消するため、2代目店主が女中頭と相談して木の器を考案したんだそうです。
また数名分の鰻丼を大きなおひつに入れて届けたところ、鰻ばかりが先に取られてご飯が残ってしまうという事態に。そこで細かく切ってごはんと混ぜてみると大好評。大きな“おひつ”で鰻とご飯を“混ぜる(まぶす)”。これが名前の由来となりました。機転から生まれた名物、是非味わってください。
避けては通れない“ひつまぶし”の正しい食べ方
鰻丼から派生したメニューではありますが、その食べ方は全く違います。知らない人には教えてあげてほしい、伝統のスタイルがあるんです。明治時代に確立された作法とも言える食べ方を紹介します。栃の木をくりぬいたおひつで一人前ずつおさめられたひつまぶしが届いたら、一善目はそのままうなぎの味を堪能します。大きな一口で頬張るもよし、うなぎだけ噛みしめるもよし。新鮮で素朴なうなぎと秘伝のタレをシンプルにいただきます。
そして二膳目はわさび・海苔・ネギなどの薬味を添えて召し上がれ。薬味の種類や量で本当に味が変わるから不思議。お吸い物や香の物もはさみながら、いろんな組み合わせを試してみましょう。
そのあとの三膳目は出汁をけてお茶漬けに。うなぎとご飯をまぶすだけでは飽き足らずお茶漬けにしてみたら、これまた好評で今日に至っているのだとか。他に似た食べ方のないひつまぶしならではの味わいかたです。
三種の作法でいただいたら、そこからはどうぞご自由に。もう一巡してみたり、一番好みの食べ方で一気に仕上げたり。その時の気分や年齢によって好みが変わるかもしれませんし、何度食べても飽きの来ないユニークかつ伝統的な食べ方を是非試してみて下さい。
職人技が成す贅沢すぎる逸品に感動!リピーター続出のワケ
美味しいひつまぶしを作るために徹底しているのが4つのポイント。まずは素材であるうなぎ。安心で安全なのはもちろんのこと、活きが良くて良質なうなぎを厳選して仕入れています。
次に焼き上げるための備長炭。ただの炭ではなく最高級のものを使用することで、安定した火力で香ばしくふっくらと焼き上げることができます。
そして欠かせないのが秘伝のタレ。創業時代から代々継ぎ足し続けてきた150年分の旨味が溶け込んだタレは美味しくないわけがないですよね。創業者の家系にのみ、なんと口頭で伝えられて受け継がれているんです。まさに門外不出の味と言えます。
最後に忘れてはいけないのが職人の技です。新鮮なうちに数秒たらずでさばかれるうなぎ。その身と皮の間に素人には真似できない職人の感覚で串を打っていきます。そこから温度・湿度などにこだわった備長炭で香ばしく仕上げる焼きの技。職人技なくしてこの味は完成しないんです。技が集結してできあがるひつまぶしは、ひとくち食べれば顔がほころび、心身が喜ぶことでしょう。その味を知ってしまったら、きっとまた食べたくなるんです。テイクアウトも可能なのでお気軽に。
当たり前の大行列にも並ぶ価値アリの豪奢な空間
熱田神宮参拝ついでの食事ではなく、もはやひつまぶしついでの参拝?とも思えてしまうほどに人気の「蓬莱軒」。名古屋市内に3店舗を構えており、本店は名城線の熱田神宮伝馬町駅が最寄り駅です。連休はもちろん土日などはかなり混み合い行列は必須。店頭で時間予約をしておき参拝や観光するなどして食事をしに戻ってくる方が多いようです。
お店の場所が場所なだけに姉妹店とは違って厳かな佇まい。緑が多くそれはそれは立派な日本庭園で、風情漂う中庭があったりと待ち時間も癒しですよ。大小様々な部屋に分かれており、昔ながらの落ち着いた雰囲気が漂います。座敷とテーブル席があって様々なシーンでの利用が可能なほか、子供連れでも快く迎えてくれるのが嬉しいポイント。宴会席もありお祝いや会食の席などに利用する人も多いようで、旬の食材を散りばめた会席料理もいただけます。心洗われる空間と絶品のひつまぶしが相まって、とても贅沢な時間が過ごせること請け合いです。家族や大事な方と一緒にゆったりとした気分で食事をしたい時に訪れてみてはいかがでしょうか。