【鈴鹿の森庭園】春を仕立てる庭、呉服しだれ、鈴鹿の森に咲く伝統の花
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- 三重県
開園は毎年2月中旬から3月下旬(見頃は3月上旬~中旬が多め)で、公開時間は9:00~20:30が基本ですが、開花前や落花が進み、ライトアップを実施しない場合16:00までの営業となります。2026年は2月21日(土)~3月下旬を予定しています。
庭園は鈴鹿山脈を借景とし、しだれ梅が一面に咲く頃には桃色の大輪が山裾に広がる風景が望めます。
園内には「見晴らし台」や「鶴島・亀島」といった、趣深い庭園意匠が施されており、昼夜で異なる表情を見せてくれます。特に梅の開花期に合わせてしか体験できない“春の芸術空間”は、期間限定の特別な美しさをご堪能いただける必見のスポットです。
三重県鈴鹿市山本町151-2
※開花前、落花が進むと16:00までの開園となります。最終入場は営業終了時刻の30分前となります
※開花状況により変更の場合があります。
小学生 大人の半額、未就学児 無料
※施設情報は掲載時の情報です。最新の情報は施設のホームページをご覧ください。
名木の系譜、呉服しだれを中心とした梅の品種たち

鈴鹿の森庭園には、しだれ梅・立ち性梅を含めて約30品種、総本数で約200本もの梅が栽培されています。園の最も象徴的な存在が、優雅な姿の呉服(くれは)しだれです。淡紅色の可憐な中輪が咲き、満開時には花弁の縁が白く覆輪となる美しい姿を見せます。見頃は3月上旬あたり。国内でも最古クラスと考えられている呉服しだれの系譜として、100年以上の樹齢を誇る「天の龍」「地の龍」が園内に鎮座しています。その力強い枝ぶりと圧倒的な花付きが織りなす景観は、春を告げる唯一無二の絶景です。

園内には、白滝しだれや難波しだれをはじめ、藤牡丹しだれといった希少品種が植栽されており、花びらの形や重なり方、開き具合を比較しながら梅の奥深さをご堪能いただけます。これらの美しい”しだれ”の枝ぶりは、ただ自然に花を咲かせるだけでは生まれません。熟練の職人の技による、枝の誘因や剪定といった曲線を描く洗練された仕立て技術が伴い、各品種の魅力を最大限に引き出しています。
品種ごとに開花時期が異なるため、早咲きから遅咲きまでが園内で入り交じり、梅の見頃を通常よりも長くお楽しみいただけます。特に、呉服しだれが満開を迎える頃に、白滝しだれや難波しだれが咲き始める美しい色のグラデーションは、まさに春の感動的な序章となります。
このように、鈴鹿の森庭園では「品種の個性 × 仕立て技術 × 植栽の配置」が三位一体となって、ただの“梅林”ではない、芸術としての梅風景を演出しています。
闇に浮かぶ梅、幻想のライトアップ世界

鈴鹿の森庭園では、開花時期に合わせて夜間ライトアップが行われ、昼とは異なる幽玄な世界が広がります。

夜間のライトアップは、木々を照明で下から浮かび上がらせる演出に加え、自然現象を活かした巧みな演出が魅力です。水溜りや水面を利用したリフレクション(逆さ梅)で水鏡に映る幻想的な景観を創出し、さらにミスト(霧)演出が加わります。光と影が交錯する中をミストが薄く漂う情景は、まるで雲海に浮かぶような唯一無二の幻想的な空間を創り出します。


訪れる時間帯にも一工夫を加えてみてください。日没直前からライトアップ開始直後のマジックアワー帯は、昼と夜の光が混ざり合い、格別に美しいタイミングと言われています。この貴重な時間をゆっくりお楽しみいただくために、1Dayフリーパス(昼+夜 両方楽しむパス)の設定があります。日中の穏やかな表情とと夜間の幻想的な空間を行き来する方法でも楽しめるようにしています。
闇の中で浮かび上がる梅の枝ぶり、花びらの陰影、水面に映る逆さ梅、これらが重なって、庭園は“闇の舞台”として新たな表情を見せるのです。
見晴らし台から眺める梅海、鈴鹿山脈と共鳴する絶景

鈴鹿の森庭園の中でも、最も人気の高い鑑賞ポイントのひとつが見晴らし台です。見晴らし台からは庭園全体を見渡すことができ、桃色のしだれ梅がまるで雲海のように広がる様子と、雄大な鈴鹿山脈が織りなす風景は息をのむほどの圧巻です。天気の良い日には遠景に釈迦ケ岳などの名峰も望むことができ、唯一無二の絶景をご堪能いただけます。
この見晴らし台からの景観は、時間帯によって表情を一変させるのも魅力です。朝から昼にかけては、自然光の下で花の色彩と山の緑のコントラストが最も鮮やかに映え、写真愛好家の方々に特に人気があります。午後から夕方には、斜光が梅の枝ぶりや花に当たることで、立体感が際立ち、景観に深みが生まれます。さらに、ライトアップ時にはこの見晴らし台は光景の中心的な観点となるため、昼間の雄大さと夜の幻想性を、この場所から存分に堪能できます。
見晴らし台へは、園路を進むうちに自然に導かれるように配置されており、アクセスしやすいスポットです。朝一番にこの場所を訪れ、清々しい朝の空気と梅の香りに包まれながら景観を堪能するのが、特におすすめです。ここから見る梅の海は、まるで桃色の波が雄大な山裾に押し寄せているような壮観さ。これは、鈴鹿山脈の自然美を庭園の景観に取り込む「借景」と連動した、高度な庭園設計の賜物です。見晴らし台は、この壮大な風景演出における中心的演出装置として機能しています。
梅を背負う島、鶴島・亀島の庭園美

鈴鹿の森庭園には、鶴島・亀島や蓬莱山といった、古典的な日本庭園の奥ゆかしい意匠が息づいています。これらの荘厳な石組(島・山)には、しだれ梅を“背負わせる”ように配置され、庭師による「見立て」の技が随所に発揮されています。
鶴島・亀島という名称は、古来から長寿・吉祥を象徴する縁起の良いモチーフです。これらを爛漫に咲く梅で飾ることは、春の再生とおめでたい縁起を重ね合わせる、日本の伝統美に基づいた演出です。この意匠空間では、梅のしなやかな枝ぶりと力強い石の形状、そして計算された余白が相互作用し、動と静が見事に調和した芸術的な美しさを作り出しています。

また、園内入口近くでは、「天の龍」「地の龍」と名付けられた呉服しだれが、皆様を最初にお迎えします。これらの古木は、庭園の揺るぎない象徴として、訪れる人々の視線を常に集めています。これらの木々と、鶴島・亀島に代表される伝統的な庭園意匠が一体となって構成する空間は、全体として「日本的春の詩情」を表現しています。
朝霧やミスト演出がある日には、島々が霞みをまとい、より奥深い幽玄な風情を醸し出します。このように、鶴島・亀島周辺は、単に梅を鑑賞する場にとどまりません。梅、石、そして空間が織りなす静かな対話を楽しむ場所として意義深い空間です。訪れるたびに新たな発見をもたらす、知的な美をご堪能ください。